基礎知識 Basic knowledge

スパイス・ハーブの基礎知識

【スパイスとハーブの定義】

スパイスは食品の分類としての一名称です。「芳香性や刺激性のある、飲食物に香りや辛み、色などを付ける植物由来の食品」のことをいいます。

スパイスは辛いものというとイメージをお持ちの方が多くおられると思いますが、実は辛味を持つものの方が少ないのです。大部分が植物に由来するもですのですので、基本的にスパイスは植物由来のもと考えられています。

ハーブは、もともとヨーロッパの伝承医療で薬草として使われてきた草本(草花)のことを示しています。ハーブといえば、「良い香りがし、食べられるもの」というイメージがあるかもしれませんが、中には香りがなく食べられないものもハーブの中にはあります。毒性のあるものを薬として使用していた歴史的背景のある草本もハーブに含まれるからです。

日本においてのハーブは、芳香性があり、調理に向いている食用のもののことを言っていることが多いです。

【スパイスとハーブの形状】

スパイスとハーブはいろいろな形状に加工され、いろいろな形で利用されています。大きく分けて「フレッシュ、ドライのホール・シード、あらびき、パウダー」の4種類と、それ以外のものは「その他」として、計5種類に分けられます。

・フレッシュ
わさびやにんにく、しょうがのように生のまま、おろしたり、刻んだりして使用したり、パセリやバジルのように生食するものなどで、これらは生のスパイスとハーブ(フレッシュ)です。

・ホール・シード
乾燥させて、粉砕せずにそのままの状態またはある程度の大きさに切り分けたスパイスやハーブのことです。この状態ですと最も香りは出にくいですが、逆に保存中の香りの損失も少ないのがホールやシードです。

煮込む、漬け込むなど時間をかけて香り付けをするような料理に用いられます。ホールやシードは、粉砕した直後の香りが特に良いことから、調理の仕上げや食べる直前に、ミルなどで挽いて使うことが多いです。

・あらびき
ホール・シードを粗く挽いてある程度大きさを整えたものがあらびきです。ホールやシードより香りが出やすく、大きさも整えられているため、下ごしらえに使用したり、調理中に使用したりします。

・パウダー
あらびきよりもさらに細かく挽いたものがパウダーです。ドライスパイスの中で、使った瞬間に最も香りが立ちやすいですが特徴ですが、反対に保存中の香りは最も損失しやすいのが欠点です。

料理などに加えた直後から香りが立ち、料理の仕上げや食べる直前に使用したり、下ごしらえでも使用します。使い勝手の良い状態のスパイスです。

スパイス・ハーブの基本的な使い方

~スパイス・ハーブの3つの働きを使いこなす~

スパイス・ハーブには大きく3つの働きがあります。その3つは、香りづけ、辛味づけ、色づけです。その中での香りづけは、ほとんどのスパイス・ハーブが持っている働きです。

スパイス・ハーブの持っている香りを生かすことは、料理に美味しそうな香りをつけて食欲を増してくれたり、肉や魚などの素材の臭みを抑えてくれる働きもあります。

その香りの正体は、精油(エッセンシャルオイル)といわれている揮発性の成分です。この精油は、植物中の組織や細胞に蓄えられており、それが破壊されたときに鮮烈な芳香を発生させます。この原理を利用して香りを引き出します。

スパイスホール、シードの場合は、ミルで挽く、叩いてつぶしたり、砕いたりします。また加熱(スタータースパイス)して使用したりします。

パウダースパイスの場合は、瞬時に香りが立つようホールやシードを挽くことによって、あらかじめ精油が閉じ込められている組織・細胞を破壊しているのです。香りが瞬時に立つ反面、時間が経過すると香りの消失も早いので、保管と使い方には気を付ける必要があります。

スパイス・ハーブの保存方法

ドライスパイス・ハーブの生命は香りと色彩です。その大敵は、光・熱・湿気です。これらを避けるために、容器の蓋をしっかり閉めて冷暗所で保管してください。

冷蔵庫や冷凍庫で保管するのは適していますが、冷蔵庫から取り出した際に容器が冷えているため、蓋を開けたままにしておくと、容器の内側に水滴が付いてしまう場合があります。それを避けるためにも使用したらすぐに蓋を閉めて、元の冷蔵庫に戻して保管してください。調理中もレンジや鍋の近くに容器は置かず、また容器から直接鍋など振りかけず、一度他の容器(お皿等)に移して使用してください。

湿気は大敵です!面倒くさいですが、ここはスパイスのため手を抜かず、無駄なく使いきってください。

スタータースパイス

調理の最初(材料を調理する前)にホールのスパイスを油でゆっくり温めながら炒め、その香りを充分に油に移してから、具材等を炒めるという調理手法で、この段階で使用するスパイスのことをスタータースパイスといいます。

スタータースパイスでクミンシードはその代表的な存在です。

スパイス・フレッシュハーブの使うタイミング

使うタイミング

 下ごしらえ(調理前の段階で使用)

素材の臭みとり、スパイスの香りを素材にしっかり付ける。色付けをするなどがあります。

使い方の一例を上げますと、素材にまぶす、スパイスと素材と共に漬け込む、下茹に使う等あります。

おすすめのスパイス・ハーブとして、まんでんなくまぶすには、パウダータイプがおすすめです。

マリネ等香りを媒介してくれる液状のものといっしょに漬け込んで、素材の臭みをとるような場合は、ホール等の粒度が大きいものがおすすめです!

 調理中(調理のはじめや途中での使用)

スパイスの香り、辛味、色をじっくり引き出して料理に加える。

使い方の例ですが、炒め油に香りを移す、焼く前に振る・素材と共に焼く、煮込み時や炊く時に加える、炒め物の最初や途中で加える等があります。

おすすめのスパイス・ハーブとして、加熱する中で徐々に香りや辛みを引き出すので、ホールタイプがおすすめです。

フレッシュハーブでは、ローズマリー、タイム、セージ、オレガノ等の香りの強いものがおすすめです!

 仕上げ(調理の最後や食卓での使用)

香り、辛み、色を瞬時に加える、スパイス・ハーブの彩り、形で華やかに料理を演出する。

使い方の例ですが、調理の最後に混ぜる、出来上がった料理に振りかける、飾り付ける等です。

おすすめのスパイス・ハーブとして、瞬時に香りが広がるようにパウダータイプを使用することが多いです。

フレッシュハーブでは、ディル、チャービル、チャイブ、パセリ等葉がやわらかく、香りがマイルドなものがおすすめです!